自動ロボット「だいち」
名前は地球ゾーン上を植林していく姿と、JAXAの陸域観測技術衛星だいち(ALOS, Advanced Land Observing Satellite、エイロス)にあやかって付けられた。
タスク
自動ロボットは以下のタスクを順番にこなさなければならない。
・手動ロボットが赤道付近に設置した木の葉(直径250mm,高さ200mmの発泡スチロール製の円柱)を3つ同時に取得する。
・北半球にある4つのリング(内径350mm、高さ50mmの輪)に木の葉を置いていく。3つ以上の木の葉を置くことで課題達成となる。
・北極ゾーンにある自作の苗木を取得し、地球ゾーンの外で待っている手動ロボットに受け渡す。
機構/センサ概要
測域センサ
マシン前方には手動ロボットと同じ測域センサが取り付けられている。測域センサを使うことによって、ロボットはリングと自分の位置関係を常に把握することができる。
これによってロボットは自分が今フィールド上のどこを走っているかを判断しながら、正確に走行し、確実にタスクをこなすことができる。
「止まることなく」リングに木の葉を置く動作を実現し、大会で一度のミスもなく課題を達成することができたのは測域センサによる正確な走行制御のおかげである。
木の葉用ハンド
左右2本のアームにはそれぞれ2個ずつ合計4個の木の葉用ハンドが取り付けられており、最大4個の木の葉を同時に取得することができる。
木の葉ハンドの開閉にはエアシリンダを使っている。エアシリンダとは空気圧の力で直動運動を行うことができるアクチュエータである。マシン前方に取り付けられたペットボトルに事前に空気を貯めており、そのエネルギーを使用している。重さの割に大きな力を得ることができ、動作も高速であるためRoboTechではよく使われている部品である。
木の葉用ハンドは、リングへ木の葉を置くときに地面に押し付ける動作を行なっている。これによって一度リングに入った木の葉が跳ねてしまったり、木の葉がちょっとずれてしまった場合でも、得点することができるようになっている。
苗木用ハンド
苗木用ハンドは各アームの先端に取り付けられており、エアシリンダによって、苗木の幹部分を把持できるようになっている。
手動ロボットとの受け渡しの判定には光電センサを使っている。苗木用ハンドが手動ロボットのハンドの下に入ると、光電センサが放った光が手動ロボットに取り付けられた反射板を介して、再び光電センサに到達する。これを苗木受け渡しのサインに使うことで、確実性の高い動作を実現した。
4つの木の葉を置くモード
大会で確実に勝利を収めるためには、マシントラブルによるリトライや相手チームの行動を予測し、想定されうる動作への対策を考えておくことが重要である。今大会に臨むにあたっても起こりうる様々な状況について議論を重ね、いくつもの作戦を用意した。
これらの作戦の中には実際の大会では使用しなかったものも多い。木の葉を4つ置くモードもこの内の一つである。
このモードでは手動ロボットから木の葉を4つ受け取って、自陣の北半球のすべてのリングに木の葉を得点することができる。この場合たとえ苗木の投擲に失敗したとしても、得点勝負になった場合に有利に立つことができる。