自動ロボット「せいろ」
せいろ概要
役割は大きく二つで、バスケットをコモンゾーンから手動ロボットゾーンに運搬する仕事と、コレクターロボットを載せて坂を乗り越えてローディングエリア2に運ぶ仕事である。
RoboTech初の全方位移動を実現した自動ロボットである。
厳しい重量制限に対応するために、ボディを一般的なアルミフレームで組むのではなく、せいろの要求性能に合致した複合体材料を自作するなど、大学ロボコンでは稀な技術を的確に使用した。
上記の全方位移動や複合材など、RoboTechで初めて開発する技術が多く、試行錯誤に試行錯誤を重ねたロボットである。
タスク説明
自動ロボットのタスクは以下の二つに大別される。
バスケット取得
バスケットをコモンゾーンで取得し、手動ロボットゾーンに置く。
二つのバスケットのうち、取りたいバスケットが取れるかは早いもの勝ちだが、相手と同じバスケットを同時に取ろうとした時には、相手に譲る優しさを兼ね備える。
バスケット取得ではせいろがタイムのボトルネックではなかったので、相手と張り合ってロボットが故障するよりは、相手に譲って安全に隣のバスケットを取得した方が賢明だ、との判断による。
コレクターロボットの運搬
コレクターロボットを上に載せ、坂を乗り越えてローディングエリア2へと運ぶ。
計30kgの二台のロボットが、傾斜17度の急な坂を上り下りをしなければならず、パワーもスピードも要求される。
タイヤにかけるモータは出力ギリギリで、なおかつ安定する限界で制御を行った。
東大でのテストランでは大会2週間前からの成功率は99%を叩きだし、国内大会でもノーミスで最高のパフォーマンスを見せた。
世界大会では、より出力の高いモータを用いて純粋な走行能力を向上させ、新たに測距センサを導入してスタートゾーンから坂の手前までの経路を最適化した。
機構説明
足回り
せいろは、RoboTechで初めて全方位移動を実現した。
二等辺三角形状に配置された3個のオムニタイヤにより駆動している。
国内大会では、2個のオムニエンコーダと1個のジャイロセンサと64素子のラインセンサで自己位置推定を行った。
その後、世界大会のために測距センサを4つ導入することで、より良いタイムを出すための経路を走行することが出来た。
バスケットハンド
バスケットを把持するハンド。
ハンドの先に搭載されたタッチセンサが反応したら、ハンドの先のエアシリンダでハンドを開閉することで、バスケットの根元を把持する。
その後、ハンドの根元を中心に、ハンド中央部にあるエアシリンダでハンドを持ちあげる。
ハンドはバスケットが大きな力で引っ張られると、ハンドが開きバスケットを譲るようになっている。
相手と同じバスケットを同時に取ろうとした時に、相手のメカと干渉してバスケットハンドが故障することを防ぐためである。
また、圧力センサがハンドの根元に搭載されており、例えばバスケットを持ちあげたがそのあと相手に奪取された時など、「バスケットを取得したつもりだが、実際には取得できていない」ことが検知できる。
コレクタ-ロボット固定機構
コレクターロボットは、バスケットハンド側の2個のエアシリンダによる直動固定機構と、バスケットハンド反対側の2つのエアシリンダによる回転固定機構によって固定されている。
また、コレクターロボットが乗るボディはロボコンで一般的に用いられる金属フレームではなく、表面が金属で内部が発泡材で構成された複合材を用いることで、軽量化を行っている。
にせあんぱん
東大でのテストランでは、重心・重量・形状をほぼコレクターロボットに合わせた「にせあんぱん」を用いて、コレクターロボットの使わないテストランを可能にした。
これには主に2つの理由がある。コレクターロボットの故障を防ぐ役割と、テストランの効率を向上させる役割である。
コレクターロボットが合体したせいろは重く、坂走破などのダイナミックな動作をするので、タスクの達成に失敗した時にコレクターロボットを壊してしまうかもしれない。
そのため、コレクターロボットが乗っても大丈夫という確信が持てるまで、にせあんぱんを用いてテストランを行って、実際のコレクターロボットを不用意に故障させないために役立てた。
また、せいろの課題の最中は、最後にローディングエリア2に着いてからの1秒を除いて、せいろの上で何も行わなかった。
そのため、にせあんぱんを導入することで、せいろがテストランを行っているときに、コレクターロボットを拘束せずに済ませることができた。
これにより、せいろのみの単独テストランを可能にして、テストランの効率が大幅に改善した。
おまけ
せいろが宇宙に進出した図である。