RC2006封鎖マシン
○ マシンの概要
封鎖マシンは、相手マシンの進路を封鎖することで、相手がスカイブリッジに得点するのを阻止し、
また自分の得点マシンが動きやすくするためのマシンです。
封鎖マシンには、「くさびマシン」と「吸盤マシン」の二台のマシンがあります。
上がくさびマシン。下が吸盤マシン。
○くさびマシンの役割
スタートと同時に走り出し、高速に走行して指定された位置に停止します。
停止と同時に後ろについている吸盤を床につけてマシンを固定し、左右についているアームが横に開きます。
停止する場所は主に3パターンあります。
1つめは、中央のスカイブリッジを少しすぎたところでななめに停止するパターンです。
到達時間がもっとも早く、相手のマシンが中央スカイブリッジに素早く到達するのを阻止します。
対信州大学の試合で相手得点マシンの進路をふさぎました。
2つめは、1点ゾーンと中央スカイブリッジの間で停止するパターンです。
相手マシンが1点ゾーンを越えてくる場合に対処するためのパターンで、
1点ゾーンの前で停止することで、相手マシンが1点ゾーンを越えて中央のスカイブリッジに到達するのを阻止します。
決勝戦の対東京農工大の試合で似たパターンを使用しましたが、中央のスカイブリッジに到達するスピードが相手の方が早く、
残念ながら中央スカイブリッジに10点得点されてしまいました。
3つめは、相手のハイウェイゾーンの中に入り込んで停止するパターンです。
相手マシンが遅く、さらに上の二つのパターンでは防ぎにくい得点をしてくる場合に使います。
相手のハイウェイゾーンの中に入り込んで停止することで、ビルディングゾーンに相手得点マシンが入るのを防ぎます。
対福岡工業大学・対工学院大学の試合で、相手の大型マシンを食い止めました。
○吸盤マシンの役割
スタートと同時に走り出し、中央のスカイブリッジの前で停止してアームを展開します。
左右のアームには吸盤がついており、これにより吸盤マシンは床にしっかりと固定されます。
また、左のアームには伸びる棒がついており、アームが床につくと同時にこの棒が相手側に向かって伸びます。
このように左右のアームを伸ばすことで、相手チームのマシンが中央のスカイブリッジに到達するのを阻止します。
さらに、左前方にも棒がついており、この棒が相手側のスカイブリッジの上にかぶさることで、
このブリッジに相手が得点するのを防ぎます。
実際の試合では、対長岡技術科学大学の試合では相手妨害マシンの展開を阻み、
対信州大学の試合では相手得点マシンを止めました。
○機構○
くさびマシンも吸盤マシンも
{オドメトリ+ライントレースの台車} + {展開機構}
という構成に違いはなく、例年のマシンと機構的に大きく異なるのは以下の2点。
①展開機構のトリガにサーボを用いている
②伸縮性を持つ妨害アームを付けた
①に関して
例年、トリガとしてタミヤの130モータによって糸をプーリで巻き取り、糸の先についたピンが引き抜かれることで展開物を展開していた。
しかしこの方法だと展開タイミングを厳密に調節することが難しく、敵地に到達してから妨害機構展開までの間に時間的ロスがあるという弱点があった。そこで、今年の封鎖マシンではトリガにRCサーボモータを使用した。
結果、展開タイミングをより正確に制御することが可能になった。
吸盤マシンの写真
写真の緑色で示しているサーボホーンが下の蝶番を押し込むと、ピンの引っかかっている
橙色の部分が外れ、青矢印の方向にピン全体が引き抜かれる。
赤丸部分が展開アームを引っ掛ける部分。
(上の写真の続き)
青丸で示したピンが引き抜かれると、橙色の引っ掛け板が外れて
赤丸の展開アームが展開する。
くさびマシンの写真
この写真では分かりづらいが、橙色のサーボホーンが赤丸の蝶番を押し込み、
この写真の外にあるアームを展開させる。
この写真には写っていないが、このトリガはリトライ時の動作を減らすために
押し込む一動作でセットできるようになっている。
赤丸のサーボが回転するとサーボホーンに結ばれた糸により、白丸のツメが
引っ張られて吸盤アームが展開する。右が展開前、左が展開後。
②に関して
昨年のABUにおいて、中国チームの使用した伸びる棒状の妨害アームが効果を発揮していたのでインスパイアされる形で伸びる妨害アームを製作し、吸盤マシンに取り付けた。
伸張性のあるアームは妨害マシンにとって汎用性が高く、妨害範囲を広げつつもマシンサイズを抑えることが出来る。
製作した結果、初期長1.5mからMAX3mまで伸びるアームが出来た。
伸張の動力にはゴムを用い、トリガには地面接触で外れる梃子状の機構を使っている。
○ソフトウエア
2つのマシン(くさびマシンと吸盤マシン)はほぼ同じソフトウエアで動いています。
駆動輪とは独立している2つの計測輪の回転を計測し、このデータを元にマシンがどこの位置にいるかを計算しています。
(オドメトリ、デッドレコニング等と呼ばれます)
しかし、これだけでは計測輪が横にずれたときなどに誤差が生まれてしまうため、床に引いてある白線がどこにあるかをラインセンサで調べ、位置の誤差を修正しています。
このような計算によってマシンの位置・角度・速度などがわかるので、この値を元に制御を行っています。
加減速の制御は、スタートするときも停止するときも加速度が一定になるように制御しています。
また、回転方向の制御は、マシンにあたかもステアリングがついているような動きをするようにプログラムし、
このステアリングの角度を計算して、直線に沿ってマシンが走るように制御しています。