かぐや、とはNHK大学ロボコン2013においてRoboTechが製作した手動ロボットの名称である。

名称の由来は、JAXAの月面観測衛星「かぐや」である。

かぐやのタスク

手動ロボット「かぐや」が達成すべきタスクは大きく4つに分けられる。
1つ目は、スタートゾーンよりスタート後、「木の葉置き場」まで走行した後に「木の葉」を取得するタスクである。
2つ目は、取得した「木の葉」を「南半球」にある3つの「リング」に置くタスクである。
3つ目は「木の葉」を自動ロボットに受け渡すタスクである。
4つ目は、自動ロボットから「苗木」を受け取った後、「月」に向かって「苗木」を射出し、「月」に着地させるタスクであり、着地した瞬間に「GREEN PLANET」達成、勝利となる。
全タスクを確実かつ高速に達成するためには、多様なタスクをシームレスかつ高速に処理することと、「苗木」を射出するタスクを確実に達成することの2点が重要な課題になると考えられた。
かぐや班においては、メカ機構や電子回路、制御プログラムに様々なアイディアを盛り込むことで、一連のタスクを高速かつ安定して実現することを目指した。

かぐやの機構

足回り

足回りは、4輪オムニホイールを用いた機構を採用した。これは、各タスク間をシームレスに遷移するためには、全方向移動による高速な姿勢制御が必要であると判断したためである。
大会においては、手動ロボットが停止することなく、把持した「木の葉」を「リング」に置くことで、高速なタスク達成を実現した。

「木の葉」取得アーム

手動ロボット自身が「リング」に得点するための「木の葉」を3つと、自動ロボットに受け渡すための「木の葉」を4つの、合計7つの「木の葉」を一度に取得することができる構造となっている。
この構造により、1度「木の葉置き場」において「木の葉」を取得するだけで、課題達成に必要な数の取得を終えることができる。
また、「木の葉置き場」に対して斜めから侵入して「木の葉」を取得可能な構造を実現することで、スタートゾーンより直線に走行するだけで「木の葉」を取得でき、高速な課題達成が可能となっている。

「苗木」射出機構

「苗木」の射出機構は一定の長さの定荷重バネを用いて、毎回同じ速度で苗木を射出する。これによって、高い再現性で「GREEN PLANET」を達成すると共に、射出時に定荷重バネを引く長さを調整することで、飛距離の調整も可能な構造となっている。

かぐやの制御

本来、手動ロボットは操縦者が動かすことを前提としているが、手動操縦は操縦者
の心理状態などの外乱要因が大きく、また自動で最適な動作を行った場合よりも
高速な動作は期待できないという問題があった。
そこで、かぐや班においては、手動ロボットの動作も可能な限り自動化することを試みた。

各種走行、取得・得点動作の自動化

基本的にはエンコーダとジャイロセンサを用いたデットレコニングにより、予め指定した経路を走行するようにプログラムされている。
ただし、取得直前や得点直前などは、自動で制御するより人の手による微妙な調整を用いて確実に動作が達成できるようにした。
オブジェクトを取得する際には、オブジェクトが取得できる位置に来たことを赤外線センサで感知することで、自動で取得出来るようになっている。
また、人の手による調整を排除することで極限までスピードを追求することも試みたが、十分な完成度を得ることができず、残念ながら本番では使うことができなかった。
それでも、操作が必要な箇所はわずか4箇所で、ボタンを押す回数は最小10回でグリーンプラネットが達成できる。

フィールドオブジェクト検出による自己位置補正

RoboTechでは従来よりエンコーダとラインセンサを相補的に用いた制御によって、自動ロボットの自己位置を同定していたが、手動ロボットを自動走行させるということは、本来想定されていない試みであるため、手動ロボットが走行するフィールドにはラインなどの検出対象が全く無く、ロボットの認識する自己位置を正しく更新し続けることが困難であった。
そこで、30m先までの物体を検出することができるLRF(レーザーレンジファインダー)を用いて、フィールドに設置された壁や「リング」、「木の葉」をセンシングし、その取得点群にフィッティ
ング処理などをかけることで、理想位置と現在位置とのズレを算出し、自己位置
の補正を行った。
これにより、手動ロボットの自動走行においても、正確な走行位置制御が可能となった。

「月」の検出と自動位置調整

「月」のセンシングとその認識は先述のフィールドオブジェクト検出の手法では「月」が遠すぎるためにうまくいかなかった。そこで、新たに「月」専用の認識アルゴリズムを用いることで、「月」の検出を実現した。
また、検出した「月」の位置と理想の「月」の位置とのづれを算出することで、ロボットが自動的に射出に最適な位置へと移動するシステムも合わせて開発した。
このシステムを用いた「苗木」射出の成功率は学内で約98%、NHKロボコン本番においては100%であり、確実な「苗木」射出を実現することができた。